Bianchi-Sato Race Report

10月4日、いわきクリテに行ってきました。当日は前日とは打って変わってピーカンの絶好の自転車日和。
優勝するぞとワンチャンスにかけたレース展開を“伊達な自転車乗り”Bianchi- Satoがレポートします。

 ◇◇◇ コンセントレーションの極致? ◇◇◇
9時40分のスタートに向け、ローラーをシャカシャカしながらスタート10分前を待つ。
全身から汗がにじむ万全なアップを行った。
9時30分、ローラー台からバイクを取り、“カチャッ”と、小気味よいクリートをはめる音を立て駐車場を後にした。
会場に着くとスタートライン脇には今や遅しと号砲を待つ選手らが腕組みをして待っていた。
そこにはカーボンフレーム、ディープ・リムホイールで武装したバイクにもたれかかり、クラブジャージでキメた猛者どもが数多くいた。
オレはその光景を前にアンダークラスを軽視し、軽はずみに優勝の二文字を口にしたことを後悔した。
程なくしてコースが開放されスタートラインに前輪を乗せなくてはいけない時間がやって来た。
覚悟を決めたオレはフロントロウに陣取り、直感で一番速そうな奴の脇に並んだ。
アナウンス嬢澄み切った声でスタート30秒前コールが言い渡されると、静かに心の中でカウントダウンを始めた。
一発でクリートがはまらなかったらせっかくの最前列が水の泡、そして心の中のカウントダウンの音があのクリートのこきみ良い音へと変わり、今までで最高に上手くはまってくれることを祈った。
号砲一発!
ダムの放水かのごとく選手らは登り上げ1コーナーとイッキになだれ込んでいき、オレもその本流に乗った。

 ◇◇◇ クリテリウムには魔物が棲んでいた ◇◇◇
早い段階で先頭集団が6名に絞られた。
なぜかオレは着実に優勝が近づいているような充実感を味わっていた。
足は完全に残っている。
今か今かと解き放たれる時を待っているのが脊髄を介して伝わってきていた。
が、しかし、最終周回にクリテリウムの魔物がオレに牙をむいた。
最終ラップの最終コーナー手前でインに切れ込んだ選手をかわそうとコースオフをしてしまった。
芝生の上を走る車輪に直感で危険回避と判断したオレの脳はペダルを踏む伝達回路をカットしてしまった。
そして、最加速して最終コーナーへと切れ込んでいったが、前方にいる選手の背中がやけに遠く小さい。
非常事態のなかで解き放たれたパワーはスムーズに制御する事ができず、ただただ一心不乱に踏み込むだけの粗末なものだった。
「オレ何着?」
終了・・・、4位に終わった。
そして全てが終わった。

「展開の先を読み切りながらパワーをコントロールできる者がこのレースを征す!」
そういう奴が来年優勝するんだろうなぁ・・・。
きっと・・・。

Bianchi-Sato記者)