2010蔵王ヒルクライムJIS +2D22

…静かなスタートだった。まずは集団の中で流れに身を任せた。
初めてのレース、興奮と緊張でペースがまったく掴めない。
とりあえずアウターで様子を見る。『最初から重いギアじゃダメ!軽いギアで回して…』キクリン会長の言葉が頭をよぎる。
……(あ、やべ~)…すかさずインナーに落とす。走り始めて10分くらい…何故だか抜かれな
い?(何故だ?)…もしかしたら俺を警戒して、俺のペースに合わせてるのでは?
ま、俺のオーラなら有り得る話だ…格が違いすぎる。と思いきや俺に声を掛けて抜いていく一台のバイクが…アップル宍戸さんだ!
この辺で実力がバレた。
皆のギアが変わった気がした。俺も負けじと2タップ!(とにかく踏むしかねぇぜ!)気合いを入れる。と同時に思った…試走するべきだった…未知のコース、てんでイメージが浮かば無いので、流すところなのか勝負所なのかも分からない。
『F**K!』気合いのギアをまた上げる。……ん、俺の名前を呼ぶ声が聞こえる…カオリさんだ!苦もなく千切って行く(…無言)よし!俺も…と続けない、無力な俺。
(ま、マイペースで行くさ)切り替えも早い。10km地点過ぎて気付いた。周囲の顔触れが変わらない。(同等の力量なのか?)とりあえず前走車のケツに張り付き風を凌ぐ。15km地点、未だシッティングで回す(まだ踏める?踏めるんかい俺!)…『乗り続けてれば、気が付かないうちに力が付いてるもんだって…』
ビアンキ佐藤さんの言葉が、Kouさんの『前より速くなってますよ…』脳裏に浮かぶ。(グラッツェ!針道駆楽部!)チェックポイントに居るギャラリー達の応援が俺にパワーをくれる。完全に勘違いした俺は残り3kmでダンシングを多用し
て勝負を賭ける。
2km、1km…(まだか、まだなんかい!)…1km過ぎた時点でダンシングしっぱなしだ。(ゴールが見えた!しゃっ!)必死にもがく。
(あれ?まだ足残ってんちゃうん?)…………戦いは終わった。仲間達の顔が目に次々に飛び込んでくる…そして達成感に包まれ、短いウイニングランよろしく皆のもとへ…俺は誓ったもっと練習することを…自分の心の中で…そして頭の中ではロッキーのテーマが何時までも鳴り響いていた。
………………以上、自意識過剰男のリポートでした。

ピッポ記者)