癒しの旅を終え今「王滝」を語る

「もうダメだ…。」
バイクを草むらになげ倒し立ち尽くしたのは、第1チェックポイント(30キロ地点)を過ぎ、第2CP(60キロ地点)へ向かう登り坂の途中だった。
スタート直後のいきなりの長い登り。目の前に広がる無数の尖った石に岩。今までに見たこともない光景。
自分なりにラインを見極め、苦しみながらも楽しく走れていた。が、下りに入ると様相は一変する。表現できない程のものすごい衝撃。少しでも気をゆるすと後輪が大きくはねて体ごともっていかれる。
あわてて減速する私を右から左からフルサスバイクが次々とパスしていく。
いや、フルサスだけではない。私と同じハードテイル、下ハン握ったシクロクロスもいた。自分のFサスがロックしてあるんじゃないかと何度も疑ったくらいだ。とにかくそのハンパじゃない衝撃には耐えるしか術がなく、何度となく登り下りを繰り返していくうちにだんだん腰が痛くなってきた。登りはまだましだった。軽いギアでくるくる回せばなんとかごまかせた。しかし、疲れてくるとちょっとしたこと、石や岩に邪魔されてペダリングのリズムが崩される、そんなささいな事の積み重ねが大きなストレスになる。しまいにはバランスを崩して足を着く羽目になる。途端に緊張の糸が切れる。おまけに腰は痛い。とうとう腰の痛みに耐え切れなくなった私はバイクを投げ出した。
「もういやだ!二度と来ない!」怒りに満ちていた。
雪の残った御岳山も絶景もどうでもよくなった。動画も写真も撮ることをやめた。自分の思い通りに行かず駄々をこねている子供と同じだった。大自然の中で自分の心の小ささを感じずにはいられなかった。
なんとか辿り着いた第2CPで20分くらい休憩し再びゴールを目指す。
途中、ちゃりけんさんに声をかけられついていこうと思ったが下りであっという間に離される…、しばらくするとこれまた福島のチーム「まげでらんに」のpontukoさん、きくまんさんに下りでぶち抜かれ…結局一人旅。
本当にゴールがあるの?と思わせるような登り下りの繰り返しに何度もうんざりしながら(本当に何度期待させられ、何度裏切られたことか!何枚パンツ履いてんだよ!って感じ?)、もう登りはないなと安心したのもつかの間、今度は最後のなが~い下りにまたまたうんざり。
なんとかゴールしたもののまだ終われない。ベースキャンプがあるスタート地点まで数キロ走らないと帰れない。最後は怒る気力もありませんでした。
レースを終えて1週間が経ちましたが、足を止めたあの場所に大事な忘れ物をしてきた気がしてなりません。いつになるかはわかりませんがいつの日かそれをを取りに行きたい、その時は結果はどうであれ晴れ晴れとした気持ちでゴールしたい。そう思うのです。
6月7日のツーリングで、JOEさん、Ajjieさん、ジャンゴさん、お見送りにきてくれたキクリン会長、みんなの笑顔と笑い声に包まれた私はすっかり癒されました。次は…フルサスバイクを買うための…『ジーコの財布を癒す旅!』是非、
あなたもご一緒に!         
おしまい
P.S
レース以外は本当に楽しい2日間でした。
ご一緒してくださった皆さん本当にありがとうございました。

ジーコ記者)